COPYRIGHT(C) 2002 KOBE-SANNOMIYA.COM ALL RIGHTS RESERVED, Link Free! NPO法人わたしたちの生存ネットトップページ 

心理学と生物学を統合する

○参考文献
『記憶をもつ動物の心理学』
『習性をもつ動物の心理学』
『自我をもつ動物の心理学』
それらは固有の用語を用いるが、筆者はもう少し一般的な言葉で心理学と生物学の関係を説明してみる。
○本論
 心的現象はそれだけで究明される。現象学がその例である。現象学はそれだけで完結している。現象学が心理学かは別として。心的現象を究明する心理学はそれだけで完結しいている。しかも、心理学は症例・統計学という有力なツールをもつ。
 だが、すべての心的現象は物質・物質機能から生じる。より直接的には身体・身体機能から生じる。より直接的には神経系・神経機能から生じる。ひとりでに自ずから生じるような心的現象はない。それは例えば、眼球〜視神経〜後頭葉の視覚野に障害があれば視覚が障害され、海馬周辺に障害があれば記憶の障害が生じる、などから実証される。
 また、心的現象を物質・物質機能のように実証することができない。だが、心的機能を生じる神経系・神経機能について、生物学者は実証することに長けても仮説を立てる想像力に乏しい。そこでは、心的現象を究明する心理学が仮説を立て、生物学、例えば、神経生理学が実証することが多々ある。例えば、『記憶をもつ動物の心理学』にあるように、記憶に係わる心的現象が究明され仮説が立てられ、記憶を司る神経系・神経機能が解明され、神経生理学が進歩する。そのことによって、心的現象だけでなくあらゆるものに係わる生物学が進歩し、医学・医療に応用される。
 立てた仮説が生物学によって実証されることによって、心的現象を究明する心理学はさらなる心的現象へ向かい、心理学が進歩し、臨床心理学に応用される。
 だが、生物学が主導して心的現象を解明することがある。例えば、『自我をもつ動物の心理学』が解明した「自我」は従来の心理学の自我とは異なる。そのような生物学から主導した心理学的概念によってまた、心理学は新たな心的現象へと向かい、臨床心理学に応用される。
 理想は心理学と生物学の両方に熟練した者が現れて研究することである。だが、そのような万能人はいない。そこで、心理学と生物学は以上のような相互関係をもつことになる。それが心理学と生物学の統合である。

著作権代行 NPO法人わたしたちの生存ネットトップページ COPYRIGHT(C) 2002 KOBE-SANNOMIYA.COM ALL RIGHTS RESERVED, Link Free!